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最高裁判所第一小法廷 昭和30年(あ)1858号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

当審における訴訟費用は被告人佐藤誠の負担とする。

被告人井口隆時、小山林平、阿川光一、小川正之助、杉山一久、矢田部良平の弁護人松本重夫の各被告人に関する上告趣意第一点は憲法違反をいうけれども、所論のように原審の裁判官が第一審判決維持に偏し公平無私に判断しなかったと認むべき証左は存在しないから、所論はその前提を欠き、被告人杉山以外の各被告人に関する上告趣意第二点及被告人杉山に関する上告趣意第三点は事実誤認の主張であり被告人杉山に関する上告趣意第二点は違憲をいうが、事実誤認を前提とするものであり、いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。被告人佐藤誠の弁護人浅川秀三の上告趣意第一点は公職選挙法一四八条の二及び同二二三条の二(趣意書には二二四条の二とあるが誤記と認める)が違憲であると主張するけれど、その然らざることは、当裁判所大法廷の判例の趣旨に徴し明らかである。(昭和二八年(あ)三一七四号同三〇年四月六日大法廷判決、判例集九巻四号八一九頁、昭和二九年(あ)七八七号同三〇年二月一六日大法廷判決、判例集九巻二号三〇五頁、昭和二四年(れ)二五九一号同二五年七月二七日大法廷判決、判例集四巻九号一七九九頁参照)それ故論旨は採るを得ない。また同第二点は量刑不当の主張であり刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

よって同四〇八条、一八一条(被告人佐藤につき)により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岩松三郎 裁判官 真野 毅 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 入江俊郎)

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